オペラの夜(3)

e0149604_556926.jpg
休憩中のホワイエでワイン片手に談笑する

久しぶりに”書”いていますので長文ですがよろしければお付き合いください。ただ今、自動投稿中。
オペラの夜(1)  
オペラの夜(2)

***

2日目 <第一日>「ワルキューレ」 
3日目 <第二日>「ジークフリート」 
  
2日目以降ははいよいよ休憩をはさんでの上演。
1時間30分見て、45分休憩して、また1時間20分見て今度は30分休憩して、また80分見て・・・
というようなパターンが繰り返される。
長時間にわたるので、特にどの日も2幕は中だるみとなって疲れて、気持ちがだれてしまった。

それでも目は開いていたし、内容もしっかり覚えている。

休憩中に旦那さんと待ち合わせをして(チケットの買い方が違ったので、席がバラバラだった)
本を読みながら、次の幕のあらすじを確認した。

確認しているとき、30代後半ぐらいのドイツ人男性に話しかけられた。
日本のことや日本人の音楽家に興味がある人で、彼はフライブルクの近くに住んでいるが
妹がベルリンに住んでいるので、彼女を訪ねつつ今回見に来たらしい。
過去にも同じもの見たとのことだった。むむ、詳しそうだ。
「4日間見るの?」と聞かれて「はい」と言うと「よしっ!」と嬉しそうだった。

ところでそのドイツ人の彼に旦那さんが「今日はどう?(気に入った?)」と聞いてみると、
あの役の声量がどうのこうのと、歌手について批評を言い出した。
私なんてもうただ見て、ついていくだけで精いっぱいだけど、好きな人はやっぱり見ている。
歌手のレベルとか、演奏とか演出とか。

そういえば上演中に、ある楽器がソロで音を外した(ように聞こえた)んだけど、その時は客席から
ざわざわ(「はあ・・・」というため息らしい)が聞こえた。
私は初めて聴く曲だったからよくわからず、でもなんとなく今の外してないか?と気づいたけど
やはり何度も見ている人たちには、音が外れるとすぐわかる。
長時間だからといって聞き逃すはずもない。そしてすぐに声に出して反応するのだった。

でもオーケストラの人も(もちろん歌手の人も、舞台裏の人もこのオペラにかかわる人は)
ずっと演奏を続けているから緊張のとけない3,4時間、大変だ。まさに大仕事。
座って見てただけなのに”疲れたー!”なんて言っちゃいけないよな、と思う。

もとい、そのドイツ人の男性とは「じゃ、またここで会おう!」と別れた。

さて、3日目か4日目だったか?いよいよ本番直前というとき。
場内が暗くなり、オケピットに指揮者が入ってきた。会場の拍手。
さあ、始まるぞとみんなが気合入れつつ、息を殺して舞台を見つめている・・・集中モードに
入る・・・とその時。
1階の一番前の席(指揮者のすぐ後ろにあたる)めがけて5,6人のおじいちゃんたち(一番
良い席に座る人たちだから、おじい様とかおじ様と言った方が良い立場の方かもしれぬ・・・)が
一気に入ってきた。席につくのが遅れてしまったらしい。
しかも暗くて自分の場所がわからないらしく、もうすでに座っている人が立ったり・・・
一番前だから大注目。気にしないようにしようと思っても目に入ってきてしまう。
全観客が見守る中、席を立ち、席に座り、席を移動し・・・てんてこまい。
指揮者もさすがに気づいたか、棒を振らず、あきらかにその人たち待ち。客先はざわざわ。
そのうち私の前の列に座っていた人が「Sitzen!」(座って~!)と言ったら、爆笑になってしまった。
(おかげで場内はちょっと和みムードな感じがあったが、日本だと怒り出す人もいるらしい。)
さて、その掛け声と同じくらいにようやく最後にひとりだけ立っていたおじいちゃんが着席。
やっと座れたおじいちゃんに対してか?はたまた仕切り直しの意味か、会場からは思わず拍手(笑)。
この拍手によりみな笑顔をきりっと引き締め再び集中モードに入った。無事に第一幕が開いた。

今回私の席はほぼド真ん中だったので、休憩ブザーが鳴ると、いや時にはあまりに神経質になって
鳴る前にできるだけ早く着席するように心がけた。
こちらでは、自分が座ってから、自分よりも奥の席の人がやってきた場合、席を立って道を
あけることが当たり前。(日本だと座ったままというのが多かった気がする)
例えば、私が15番の席だとして、もしそれより手前の12番や8番の人が先に座ってた場合、
私が15番にたどり着くまでに通る席の人(つまり1~14番の席の人)はみんな立たなければならない。
といっても義務ではなくて、別に立たなくても足をひょいとずらして、要は通れるように
してあげたらいいんだけど、まあ、そんなに広い通路でもないし、とにかく暗黙の了解、みたいな
感じで立つ人が多い。

これが10分前あたりだと、まだ座っていない人も多かったり、予めイスの前で立ったままで
待っている人もいたり、時間的にもまだ堂々と通り過ぎることができるのだが、あまりにギリギリ
すぎるとせっかくよいしょ、と座った人を立たせることになる。
そんな時はまるで自分がえらい人になったかのよう・・・なんて思う余裕はなく、
なんだか本番前の数分間に浸っているところを、邪魔するようで申し訳なさでいっぱいになる。
私の左隣のおじちゃんはまさにこの状態になり、15人以上を「ありがとう」「peinlich~!!」を
何度も繰り返しながら席に座った。peinlichとはドイツ語で気まづい、とか心苦しいの意。
そうか、peinlichってこういうときに使うんだな、とひとつ勉強になった。

ちなみに、席を立ってもらって自分が移動するとき。私は以前まで、ダンケと言いながらも
立ってる人に向き合わずに舞台のほうを見ながら(つまり立ってる人に対しておしりを向けて)
横歩きに移動していた。あきらかにおしりを向けるわけではないけど、まあ、ちょっと舞台の方に
体が傾いていた。これは日本人(ってか私か?!)の気質で、なんとなく至近距離で他人と
向き合うのはたとえ一瞬でもなんだか失礼なんじゃないかと思ったし、そうすることにも
慣れていないから照れもあるし、とにかくできるだけ早く通らなくてはという気負いもあって
立ってる人のほうを向くことは避けていた。
(おしりを向けることが同じ失礼であったとしても、天秤にかけてそちらを選んだ)

でもあるときのコンサートで、いつものようにおしりを半分向けて移動していたら、そこに
立っていた上品そうなおばさまがにっこりしながら私の両腕をつかみ、こっちを向いていいのよ、
と言った。それは本当に嫌味とか怒られているという口調でも雰囲気でもなく、こっちを向くのよ、と
優しく指導してくれたような気もした。私はその時から、他の人がどうやって移動しているか
注目してみた。すると確かに皆、お互い向き合った形ですれ違っている。
別にこんなのルールも何もないだろうし、実際その人の勝手なのかもしれないけど、腕に残った
おばさまの手の暖かさが妙に印象に残り、この時以降から私も立っている人におしりを向けず、
代わりに笑顔を向けるようにしている。

***
オペラは今回の場合3夜連続(火・水・木)だったけど、金曜日はお休み、最終の4日目は
土曜日だった。3日間連続で見終わった、金曜日。かなり疲れていた。
今日は劇場に行かなくてもいいんだという変な安心感を感じてしまった。
その日、今回のオペラをすすめてくれた知人から家に電話があった。旦那さんが出たところ用件は
「mihoは大丈夫?楽しんで見ているかしら?」と気にかけていてくれたらしい(笑)
友達にも「どう?大丈夫?」と心配してもらった。
う・・・うん、、、なんとか大丈夫。。。でも内容が面白い!ここまで来たらあと一日見届けなくては!

さあ明日は最終日だ。
[PR]
by miho-berlin | 2011-10-09 07:00 | あふれる音楽♪オペラ♪バレエ♪

もう旅行者ではない、寝ても覚めてもここはベルリン、毎日ベルリン!品川OLが結婚を機に2008年渡独。縁もゆかりもなかったこの街で奮闘する主婦&新米ママのベルリン生活。


by miho-berlin